この記事に出会ってくれたあなたは、いま、生きていくためのモチベーションがわかず、「生きる意味って何なんだろう?」と考えているかもしれません。
人間が生きる意味については、現在までにたくさんの人たちが考えてきました。
そこでこの記事では、先人たちが考えてきた「生きる意味」についての結論や、私、大鈴佳花(おおすず・よしか)が考える「生きる意味」、また「生きる意味がない」と思えて疲れたときにできることを紹介します。
ぜひ、あなたが「生きる意味」を見出す際の参考にしてくださいね。
生きる意味がわからなくなったとき
生きていると、「生きる意味って何なんだろう?」と考える時期があると思います。
人生がうまくいっているときよりも、つらいことがあるときの方が「いったい、何のために生きなければいけないのだろう?」と考えることが多いのではないでしょうか?
また、とくにつらいことがなく、一見、人生が順調なようでも「生きる意味が見出せない」こともあります。
あなたは、生きる意味がわかれば、それに向かって情熱を燃やして生きていくことができると思って「生きる意味」を探しているかもしれません。
つまり、「生きる意味とは?」と考えるということは、あなたは「情熱を燃やして生きたい!」と願っている証です。
「生きる意味」に正解はあるのか
こんなことを言うと、がっかりしてしまうかもしれませんが…
先に結論をお伝えすると、「生きる意味とは?」という問いに対する「絶対的な正解」はありません。
私たち人間が「生きる意味」は、古今東西の先人たちが現在までに、さんざん考え尽くしてきた問いです。
しかし、生きる意味について「絶対的な正解」を導き出せた人は、これまでいないのです。
絶対的な正解はないと聞くと、いま落ち込んでいて、「生きる意味を知って、生きていく力にしたい」と切実に思っている人は、がっかりしてしまうかもしれません。
でも、「生きる意味」を探した先人たちは、答えを見つけられなかったわけではないんです。それぞれが考える「生きる意味」を導き出しています。
そこでここでは、先人たちが導き出した「生きる意味」について見てみましょう。
先人たちが探してきた「生きる意味」
前に述べたように、人間が「生きる意味」については、古今東西、たくさんの人たちが考えてきました。
現在「生きる意味」が論じられるときによくあげられる、代表的な2つの考え方を紹介します。
- 1.「生きる意味はない」とする考え方
- 2.「生きる意味は自分でつくる」とする考え方
1.「生きる意味はない」とする考え方
フリードリヒ・ニーチェ氏は、19世紀に生きた、ドイツの哲学者です。
歴代の哲学者の中で最も人気のある人物でもあり、とくに現代の人々の考え方はニーチェ氏に思想の影響を大きく受けていると言われています。
ニーチェ氏の思想についてはさまざまな解釈があり、現在も研究され続けています。
彼の思想の中核をなす概念は「ニヒリズム」です。
「ニヒリズム」とは、「物事に絶対的な価値や基準、意味や目的などはない」とする考えのことを言います。
日本語では「虚無主義」と訳されます。
後ろ向きな考えですが、当時の時代背景が関係していると言われています。
ニヒリズムの思想によると、「生きる意味」は「そんなものはない」ということになります。
ニーチェ氏は「生きることは同じことの繰り返しである」という「永遠回帰」という概念を唱えました。
そしてそのような退屈な人生に耐えられる人を「超人」と呼びました。
よく「人生は死ぬまでの暇つぶし」などと言われることがありますね。
そのような考え方には、ニーチェ氏の「永遠回帰」や「超人」の思想の影響があるかもしれません。
(参考:岡本裕一郎「教養として学んでおきたいニーチェ」(マイナビ出版・2021))
2.「生きる意味は自分でつくる」とする考え方
人生がつらいときは、人は「それでも生きていく原動力」が欲しくて、「生きる意味」を探すことがあります。
その代表例が、20世紀に生きたオーストリアの精神医学者であり心理学者であるヴィクトール・エミール・フランクル氏です。
フランクル氏は、人類が経験しうる体験の中で、おそらくもっとも過酷な体験をした一人だと言えるでしょう。
ユダヤ人であったフランクル氏は、第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収容され、奇跡的に生還したのち、その体験を「夜と霧」という著書に記しました。
「夜と霧」でフランクル氏は、強制収容所という極限状態における群衆や個人の精神的な変化を分析しています。
後年の講演会でフランクル氏は「私たちが『生きる意味はあるか』と問うのは、はじめから誤っている」と述べています。
しかし、ニーチェ氏のように悲観的だったわけではありません。
フランクル氏は「ものごとの考え方を180度展開する必要がある」と考えたのです。
「私は人生に何を期待できるか」と問うのではなく、「人生は私に何を期待しているか」、つまり「自分が人生で何ができるか」と問うだけだと述べています。
「どんなときでも、生きる意味があるかどうかは、その人の自由選択にゆだねられています。人生は『最後の息を引き取るときまで』意味のあるものに形づくることができると言ってもいいでしょう」
(引用:ヴィクトール・E・フランクル・著、山田邦男、松田美佳・翻訳「それでも人生にイエスと言う」(春秋社・1993年))
多くの人はそれまで「人生は自分に何を与えてくれるのか」という観点から「生きる意味」を問うてきました。
しかしフランクル氏の場合、人間としての尊厳を奪われ、肉体的・精神的ともに極限状態に置かれたとき、つまり「人生から与えられるもの」を期待することができなくなったとき、「自分は人生という時間の中で、何ができるか」という考えへと「人生観の転換」が起こりました。
それは生きる意味や希望を見い出せなかった人たちが、肉体的、精神的に崩壊していったさまを見てきたためです。
講演集「それでも人生にイエスと言う」には、フランクル氏が彼のラジオ講演を聴いた85歳の女性から受け取った手紙の言葉が書かれています。
「私はやっと、自分の人生が何かわかりました。私の人生は、もっといい人間になるために特別に猶予してもらっているものだったのです」
(引用:ヴィクトール・E・フランクル・著、山田邦男、松田美佳・翻訳「それでも人生にイエスと言う」(春秋社・1993年))
(参考:日本語版生きることの意味評価票(the Schedule for Meaning in Life Evaluation, SMiLE)作成の試み)
(参考:フランクル『夜と霧』における「群集の精神病理学」について)
(参考:V.E.フランクルにおける「生きがい論」の射程 -自己実現から自己超越へ- )
(参考:生きることの価値と在ることの価値 -鶴田一郎における「生きがい論」の射程について- )
大鈴佳花が考える「生きる意味」
私自身も、「生きる意味っていったい何なんだろう?」と深く考えたことがあります。
それは、2013年にカイロプラクテックの施術ミスで頸椎損傷し、1年寝たきりになったときです。
24時間、尋常じゃない身体の痛みにひたすら耐えながら、どうしてこんなにも大変なことが私の人生に起こるのか…そもそも生きる意味とは何か?人生とは何か?と考えました。
そのときの経験を、著書「私はただ『生きてる~!』って叫びたいだけだったんだ」に書いています。
この本は、営業の仕事で何年もトップを走り、誰もがうらやむような東京タワーの見える部屋に住み、ブランド品もたくさん持っていた私が寝たきりになってしまったときの体験を書いたものです。
「成功」を絵に描いたような人生から一転、ベッドから起き上がることさえできなくなったことで、それまでの価値観が通用しなくなり、1年を通して「生きる意味」を考え続けました。
それからおよそ10年の月日が経ち、さまざまな経験を通して私がいま思う「生きる意味」とは…「そのときどきで変化するもの」ということです。
生きていると、大変なことや、どんなにがんばっても思い通りにならないことが起こることがあります。
それでも前を向いて生きようと思ったとき、「私はこのために生きているんだ!」と思えるものを、人は自分の人生から探します。
反対に、私の人生はなんてすばらしいんだろう!と思えるようなことがあったとき、「私はこのために生きているんだ!」と、湧き上がる喜びの中で感じるでしょう。
そのどれもが、そのときの「私はこのために生きているんだ!」と思える理由。だから生きる意味は、人生のさまざまな場面で変化します。
そう感じると、そのときに自分がみつけた「生きる意味」を、ただ精一杯生きることが人生だと私は思うのです。
「生きる意味がない」と思えて疲れたら
「生きる意味は自分でみつけるものだ」と言っても、ときには人生に疲れてしまうこともありますよね。
そんなときは、以下のような方法を試してみてください。
- 1.「自分の人生に意味を与えてくれそうなもの」を大切にする
- 2.「人生最後の日」を想像する
- 3.「感謝できること」に目を向ける
- 4.「生きる意味がない」と口にしない
- 5.周りと比べない
- 6.つき合う相手を選ぶ
- 7.幸せな時間を過ごす
- 8.身体を休める
1.「自分の人生に意味を与えてくれそうなもの」を大切にする
公認心理士である村上祐介氏は、著書「生きる意味って何だ?人生のビッグ・クエスチョンズに向き合う」の中で、以下の方法を提唱しています。
①2~3分間、呼吸に注意を向け、心を落ち着けます。自分の鼻やお腹を通って出入りする空気(呼吸)に注意を向け、ただただ自然な呼吸に意識を集中させる。
②落ち着いたら、仕事や家族、地域貢献(ボランティア)など、自分の人生に意味を与えてくれそうなものや、生きがいを与えてくれたものに想いを巡らす。
③翌日、②の領域を大切にできる生き方(行動)を具体的にイメージする。
たとえば、「家族」の領域で、戦争を生き抜き、自分の親を養い育ててきてくれた祖父母に想いを巡らしたとすれば、「明日は、受け継がれた命のバトンを大切にする一日にしよう」と決め、祖父母に電話することなどをあげています。
(参考:「生きる意味って何だ?人生のビッグ・クエスチョンズに向き合う」91~93頁)
2.「人生最後の日」を想像する
同じく、村上祐介氏の著書「生きる意味って何だ?人生のビッグ・クエスチョンズに向き合う」の中で提唱している「私たちはみな、いつか死を迎える存在である」ということについて、考える方法です。
「生きる意味がない」と思っているとき、私たちはつい投げやりになって、自分にとって何が大切かを忘れてしまうものですね。
また、高い視点で人生を俯瞰できなくなります。
そんなときは、人生最後の日を迎えた自分から「現在」を振り返ることを想像すると、自分が最も大切にしたいと思っている価値や信念に再び気持ちを向けることができるのです。
(参考:「生きる意味って何だ?人生のビッグ・クエスチョンズに向き合う」95頁)
3.「感謝できること」に目を向ける
私たちが「生きる意味」がみつけられないと思っているとき、感謝を忘れていることがあります。
私自身もこれまで、生きる意味なんかない!と思ったときは決まって、感謝を忘れていたときでした。
カルフォルニア大学ディヴィス校のエモンズ教授らは、「感謝が幸福にどう関係するかの研究」を行いました。
実験では、1日の中で感謝したことを5つ記録する人たちと、面倒だったことを5つ記録する人たち、他者よりも自分が優れている点を5つ記録する人たちの3つに分けて調べました。
その結果、感謝したことを5つ記録した人たちは、人生に対する肯定的な評価と幸福度が向上したことが明らかになりました。
日常の中で感謝を習慣にすると、人生に対して「生きる意味がない」と後ろ向きに感じることは少なくなっていくでしょう。
(参考:「ありがとう」という言葉が幸福を運ぶ。感謝できる子に育てる3つの方法)
4.「生きる意味がない」と言葉にしない
「生きる意味がない」と疲れたとき、つい「私には生きる意味なんかない…」「私は何のために生きているんだろう」などと、ぼやきたくなることがあります。
でも、それはすぐにやめてください。
なぜなら、私たちの脳は機能的に、自分の信じていることを証明するようなことを人生で探すからです。
あなたが「生きる意味がない」と口にすれば、生きる意味がないと証明するようなことを脳が探します。
すると、さらに生きる意味がないと感じる人生になってしまうでしょう。
反対に「生きる意味がある」と口にすれば、生きる意味があると証明するようなことを脳が探します。
そして生きる意味をみつけ、「自分はこのために生きているんだ!」と思える人生を叶えることができるのです。
「生きる意味がない」と言うのではなく、「生きる意味がある」と言ってみましょう。きっとそこから変化が起こりますよ。
5.他人と比べない
「生きる意味がない」と思って疲れているとき、つい「生きる意味」をみつけ輝いて生きている人と自分を比べてしまうことがあります。
あなたは、他人の「生きる意味」が魅力的に思え、うらやましく思うかもしれません。
「生きる意味がない」と疲れているときは、他人より自分の方ができていないとか、劣っていると感じやすいものです。
あなたはSNSを見て、自分と他人を比べるクセはありませんか?
そういうものを見ると、なおさら自分には「生きる意味がない」と疲れる原因になります。SNSから少し距離を置きましょう。
そのことで自分に集中できるようになり、他人と比べることなく自分の「生きる意味」をみつけられるようになっていきます。
6.つき合う相手を選ぶ
「朱に交われば赤くなる」ということわざがあります。これは、人はつき合う相手や周りの環境に影響を受けやすいという意味です。
私たちの脳には、モノマネ細胞と言われるミラーニューロンがあります。
ミラーニューロンとは、他人の行動を見て自分自身が同じ行動をとっているかのように、鏡のような反応をすることから名づけられました。
あなたが親しくつき合う相手が「生きる意味がない」と考えているなら、きっとあなたもその影響を受け、「生きる意味がない」と考えるようになるでしょう。
なぜならそれが、モノマネ細胞、ミラーニューロンの働きだからです。
反対に、あなたが親しくつき合う相手が「生きる意味がある」と前向きに生きている人なら、きっとあなたもその影響を受け、「生きる意味」をみつけ、イキイキと生きれるように変化するでしょう。
なぜならそれが、モノマネ細胞、ミラーニューロンの働きだからです。
自分の人生をより良くするために、つき合う相手を選びましょうね。
7.幸せな時間を過ごす
「生きる意味がない」と疲れているときは、意識して幸せな時間を過ごしてください。
あなたが幸せを感じる時間は、どんな時間ですか?
澄んだ海を見ながら、打ち寄せる波の音に耳を傾けるとか、心許せる友人と穏やかな時間を過ごすとか、一緒に暮らす動物さんと楽しく過ごすなど、いろいろあると思います。
私たちは幸せを感じているときに、「自分の人生は価値あるものだ」と思えるものです。そう思えること自体が人は、「生きる意味」を生きている。
あなたがもし今、「生きる意味がない」と感じているとしたら、「生きる意味」を追求するよりも、幸せな時間を過ごすことで、「生きる意味」をみつけることができるかもしれません。
8.身体を休める
あなたが「生きる意味がない」と疲れているとしたら、身体が疲れているのかもしれません。
なぜなら、身体の状態と心の状態はつながっているからです。
仕事が忙しくてずっと休んでいないのに、がんばりやで真面目なあなたは、周りに迷惑はかけてはいけないと、無理をしていませんか?
毎日、家事や育児を自分ひとりでがんばっていませんか?
日々忙しすぎると、自分でも気づかぬうちに身体に疲れが蓄積して、そのことで建設的な考え方ができなくなります。
自分ではしっかり休んでいるつもりでも、疲れがとれてないのはよくあること。
たとえば、寝ても疲れがとれていない場合は、ベッドに入る時間を変えたり、睡眠時間を見直したり、身体が回復できる環境を整えてみてください。
日中はしっかり太陽の光を浴びることで眠りの質が高くなります。毎日、日光を浴びることを習慣にし、夜10時にはベッドに入るなど工夫してみましょう。
また、お風呂にゆっくり浸かったり、アロマオイルの香りで自分を癒してみたり、心身ともにリラックスする時間を過ごして疲れをとってもいいですね。
身体の疲れがとれると、人生に前向きになることができます。きっと自然と「生きる意味」をみつけることができますよ。
「生きる意味」についてまとめ
人生、生きていれば、「生きる意味」がわからなくなり疲れたと感じることもあります。
それでも私たちは、自分の人生から生きる意味をみつけ、人生に意味を与えることができる存在です。
人生の最後に「生きる意味はあった」と思えるように、かけがえのない毎日を過ごしてくださいね。
あなたの輝く未来が叶いますように、私はいつも応援しています。